コラム

2021/11/10コラム

死後事務委任契約は有効か?

弁護士 有馬 慧

死後事務委任契約は、委任者が亡くなった後、その委任者が指定した事務を受任者が遂行することを想定した委任契約です。

民法6531号は、「委任者又は受任者の死亡」を原因として、委任は終了すると定めていることから、そもそもこのような契約は有効かが問題となります。

 

この点について、最高裁判決があります。

最判平成4922日は、「自己の死後の事務を含めた法律行為等の委任契約がA(※委任者)とY(受任者)との間に成立したとの原審の認定は、当然に、委任者Aの死亡によつても右契約を終了させない旨の合意を包含する趣旨のものというべく、民法六五三条の法意がかかる合意の効力を否定するものでないことは疑いを容れないところである。」と判示し、死後事務委任契約は有効であるとしました。

民法653条は、同条に定められているルール以外の合意を否定する「強行規定」ではなく、死後事務委任契約をすることは許されるということです。

なお、法律行為以外の事務(例えば、死後にパソコンのデータを消して欲しい、祭壇にはゴルフボールを供えて欲しいなど。)を委託する準委任契約についても、委任の規定が準用されますので、これについても同様に有効と考えられます。

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