2021/10/21コラム
任意後見契約の3つの類型とメリット・デメリット
弁護士 有馬 慧
任意後見契約には、3つの類型があると言われます。
①将来型
任意後見契約締結時には、委任者(本人)の判断能力には問題がなく、将来、委任者の判断能力が低下したとき、任意後見監督人選任の申立てをして任意後見をスタートさせるもの。
②即効型
任意後見契約締結時に、委任者(本人)の判断能力がある程度低下しており、任意後見契約と同時に任意後見監督人選任の申立てをするもの。
③移行型
任意後見契約締結時には、委任者(本人)の判断能力には問題ないが、委任者の希望で任意後見契約の効力を発動させる前から別の契約(財産管理委任契約やホームロイヤー契約)を結び、受任者に財産管理を行ってもらい、将来、委任者の判断能力が低下したときに任意後見をスタートさせるもの。
このうち、②即効型は、受任者となる任意後見人を自ら選びつつ、任意後見人をすぐにつけられるというメリットがありますが、任意後見契約自体の有効性に疑義があり、デメリットが大きくお勧めできません。
③移行型は、受任者となる任意後見人を自ら選ぶことができ、財産管理もすぐに受けられるというメリットは魅力的です。もっとも、財産管理をする側にとって、任意後見をスタートさせるメリットが小さい(必要な財産管理は既にできており、監督人がつくことで自由な管理ができないと感じてします。)ため、適切な時期に任意後見監督人選任の申立てがされず、受任者が権限を濫用する恐れがあり、注意が必要です。
①将来型は、典型的な任意後見契約の類型であり、安定的な契約といえます。もっとも、効力が発生するまで相当長期間が経過することもあり、その間に委任者の意思が変わってしまったり、受任者の年齢や生活の変化によっては、契約内容を見直す必要が生じる可能性もあります。したがって、この点をケアする視点が必要です。
このように、各類型にはメリット・デメリットがあります。
ご相談時には、現在の状況やご希望内容も踏まえ、手続きの進め方をご提案いたします。